公開日: 2009年08月07日(Fri)
ある決まった一連の作業を繰り返し実施するような仕事をルーチンワークと呼ぶ。
仕事をルーチン化するということは、繰り返される単純な作業を、無駄なく、正確に、迅速にこなすために有効だが、退屈でつまらない仕事に感じてしまうこともしばしば。
なんでルーチンワークって退屈になっちゃうんだろう?
という、この仕組について、お弁当箱にごはんとキャベツとハンバーグとにんじんを詰めて、ベルトコンベアに流す仕事を例にとり、PHPを使って考えてみた。
まず、一連の作業の流れは次のようだ。
<?php
$lunchbox = new box(); //お弁当箱を用意
$lunchbox->put('キャベツ'); //キャベツを敷く
$lunchbox->put('にんじん'); //にんじんを添える
$lunchbox->put('ハンバーグ'); //ハンバーグを乗せる
$lunchbox->put('ごはん'); //ごはんを盛り付ける
$belt_conveyor->put( $lunchbox );//ベルトコンベアへ流す
?>
ざっと書きだしてみると、1工程につき6つの手順がある。
どんなルーチンワークも、初めてやれば結構楽しいものだ。初めて覚える仕事が6つもあるのだ。慣れないうちは、それぞれより上手くこなそうといろいろ工夫もするし、成長感も得られる。
慣れない新人の日々の作業は、これを頑張って繰り返す。
<?php
$lunchbox = new box(); //お弁当箱を用意
$lunchbox->put('キャベツ'); //キャベツを敷く
$lunchbox->put('にんじん'); //にんじんを添える
$lunchbox->put('ハンバーグ'); //ハンバーグを乗せる
$lunchbox->put('ごはん'); //ごはんを盛り付ける
$belt_conveyor->put( $lunchbox );//ベルトコンベアへ流す
$lunchbox = new box(); //お弁当箱を用意
$lunchbox->put('キャベツ'); //キャベツを敷く
$lunchbox->put('にんじん'); //にんじんを添える
$lunchbox->put('ハンバーグ'); //ハンバーグを乗せる
$lunchbox->put('ごはん'); //ごはんを盛り付ける
$belt_conveyor->put( $lunchbox );//ベルトコンベアへ流す
$lunchbox = new box(); //お弁当箱を用意
$lunchbox->put('キャベツ'); //キャベツを敷く
$lunchbox->put('にんじん'); //にんじんを添える
$lunchbox->put('ハンバーグ'); //ハンバーグを乗せる
$lunchbox->put('ごはん'); //ごはんを盛り付ける
$belt_conveyor->put( $lunchbox );//ベルトコンベアへ流す
$lunchbox = new box(); //お弁当箱を用意
$lunchbox->put('キャベツ'); //キャベツを敷く
$lunchbox->put('にんじん'); //にんじんを添える
$lunchbox->put('ハンバーグ'); //ハンバーグを乗せる
$lunchbox->put('ごはん'); //ごはんを盛り付ける
$belt_conveyor->put( $lunchbox );//ベルトコンベアへ流す
?>
こんな具合。一つ一つの作業を、じっくり丁寧に、実行している。
この日は4つのお弁当を製造できた。
しかしこれでは効率が悪い。慣れてくると、一連の作業をひとまとまりにして、細かいことをいちいち意識しなくても、正確にまわせるようになってくる。
<?php
function mk_lunch(){
global $belt_conveyor;
$lunchbox = new box();
$lunchbox->put('キャベツ');
$lunchbox->put('にんじん');
$lunchbox->put('ハンバーグ');
$lunchbox->put('ごはん');
$belt_conveyor->put( $lunchbox );
}
mk_lunch();
mk_lunch();
mk_lunch();
mk_lunch();
mk_lunch();
mk_lunch();
mk_lunch();
mk_lunch();
?>
より少ない行数(工数)で、8つのお弁当を製造することができるようになった。
ここまで慣れると、一連の流れを既に体が覚えてしまっているので、細かい所作を気にすることなく、条件反射的に体が動いて、お弁当を作り上げられるようになっている。
その反面、新しい工夫や刺激を受ける機会は極端に減り、だんだん仕事に対する興味が薄れていくようになる。
さらに熟練すると、あまりに慣れすぎてしまって、仕事中に仕事のことを考える必要すらなくなってくる。
<?php
function mk_lunch(){
global $belt_conveyor;
$lunchbox = new box(); //お弁当箱を用意
$lunchbox->put('キャベツ'); //キャベツを敷く
$lunchbox->put('にんじん'); //にんじんを添える
$lunchbox->put('ハンバーグ'); //ハンバーグを乗せる
$lunchbox->put('ごはん'); //ごはんを盛り付ける
$belt_conveyor->put( $lunchbox );//ベルトコンベアへ流す
}
while( intval( date('His') ) <= 170000 ){
mk_lunch();
}
?>
仕事上がりの17時が来るまで、ひたすら決まった手順を無意識に繰り返す。
頭の中はアフターファイブのことでいっぱい。仕事の内容なんてほとんど上の空で、体が自動的に動いてるような状態になる。
仕事から受ける新しい刺激は皆無で、もう飽き飽き。希望も目標も楽しみも達成感も、仕事からはなかなか得られなくなっている。
PHPは機械だから、何度ルーチンを繰り返しても正確にできるかも知れないが、人間はそうは行かない。こんな風な効率化も、度が過ぎれば、細かいところに意識が行かなくなって、つまらないイージーミスにも繋がる。
・・・と、PHPでお弁当を製造してみたわけだが、たぶん、こんな感じなんだろうな、仕事に飽きてくるロジックって。
作業者がこういう意識になってしまったら、それはプロジェクトにとっては大変危険な状態だ。
周りの仲間や上司は、定期的に注意を呼びかけたり、反省会とかやってみたり、ライバル意識を煽ってみたり、上手くできたら褒めてみたり、新しい仕事を与えてみたり。何かしら刺激を与えるような環境を作らないと、モチベーションは下がるし、仕事の質も低下する。
本人ももちろん他人事じゃなくて、自分なりに新しい目標を作って挑戦してみたりとか、集中力が途切れないように気を引き締める努力をしないといけない。
上手くできない仕事は、上手くできないからこそ、上手くできようとして必死になるから刺激的で面白いが、実際に上手くできるようになっちゃうと、刺激がなくて退屈になって、逆に質が低下してしまうことさえある。不安定な時代に生まれれば、安定を求めていろいろ精力的に頑張るが、実際に悲願叶って、安定した平和な日々を手に入れてしまうと、なんだか平凡で退屈になっちゃって、「何かとんでもない事件でも起きないかなー」とか思いはじめる。という矛盾。それに似てる。
僕などは飽きっぽいので、自らのモチベーション管理には特に気をつけないといけない。
公開日: 2009年08月07日(Fri)