公開日: 2009年02月28日(Sat)
不景気になってから、タンス貯金っていう言葉を知った。銀行とかに預けるでもなく、自宅のタンスとかに現金を貯めこんでるような状態を言うらしい。ヘソクリみたいなもんだろうか。
このタンス貯金が、日本国内に推定(何を根拠に推定したのかわかんないけど)でおよそ30兆円ほどもあるということで、テレビで政治家や経済学者的な人たちが、『日本経済活性化のために、使ってください』的なことを言っているのをよく耳にする。
タンス貯金とかヘソクリとかは、僕と同年代(そろそろ中年の仲間入りと思われても仕方のないくらいの、ギリギリ若者世代)の間ではしてる人なんて聞いたことがないので、たぶん、ほとんどがお年寄りの方なんじゃないかと想像する。
タンス貯金が世に出てこない理由として、銀行の金利が安すぎて預けていても得しないとか、年金などの社会保障がちゃんとしてないので不安とか、そういう方向の分析が一般的なようだ。
先日、仲間内で酒を飲みながら「もしも1兆円持ってたら何に使うか」という、非現実的かつ幸福な議論を展開した。1兆円は国費とかじゃなくて、私的なお金。もちろん超個人的な贅沢三昧を好きなだけしてもいいお金として。
散々みんなでアイデアを出した結果、一番高額そうな贅沢は『東京ドーム貸切でAV撮影ライブを実施すること』だったという、実にくだらない議論だったのだが、そこまでやっても1兆円なんて使いきれないだろう。
ぼくら庶民が無理して贅沢したって、そんなもん。あんまり大金持ってたって、どうせ無理しても使い切れないんだということを、この実にくだらないブレストを通じて知った。
僕がおじいちゃんだとして、自分の家のタンスに1000万円の貯金があったら何に使うだろうか?
・・・なんだか使い道がないのぅ。
っていうのが、実はタンス貯金が世に出てこない理由のひとつになってるんじゃないかしら。きっと欲しいものがないんだよ、おじいちゃんたちは。
プレゼンテーションが足りないんだ。決定的に訴求力のある商品がないんだ。めちゃめちゃ魅力的で是が非でも手に入れたくなるような家庭用大画面プラズマテレビ 1000万円 とか、孫の洋服を繕ってあげるためのプラチナ製超高機能ミシン 900万円 みたいな、そういう規模の個人向け商品を提案できなければ、タンス貯金を引きずり出すのは難しい。
それができないならば、タンス貯金はブラックホールに飲み込まれたものと思って、さっさと諦めてしまったらどうだろう。そして、いつかそれを相続した2世のうちの何人かが、うっかり無駄遣いしてしまうのを、じっくりと待つしかないのだ。
公開日: 2009年02月28日(Sat)