俺的グッドデザイン賞『首都高速道路』

いまからおよそ10年ほど前、新潟から上京してきた僕の「東京」のイメージは、「新潟市街の広い版」だった。ようするに、田舎者が夢見る大都会っていう印象はまったくなくて、「なんだい、たいして変わらないじゃないか」という実感。

それは今でもそう思っているままなんだけれども、1つだけ例外がある。それが本日のテーマ『首都高速道路』、とりわけ真夜中の首都高だ。

おそらく、日本で最も巨大な建造物であろう首都高。複雑に立体的に交差し合った曲線美、ビルの谷間を縫うようにすべる臨場感、時に空まで続いているんじゃないかと思わせるジャンクション、そして見渡す限りの美しい夜景。幼少の頃に、ミニカーやミニ四駆を走らせながら想像していた夢のコースの、まさにその実物の中に入り込んだようだ。

決して新しい物ではない( Wikipediaによれば、1962年の京橋-芝浦(4.5km)が最初らしい )のに、首都高からはなぜか近未来的な世界観を感じる。キレイ過ぎず、破滅的でもなく、ちょうどリアルな近未来像。ドラえもんじゃない、ナウシカでもない、北斗の拳でもない、アキラ的な近未来。多少の辛いことや苦しいことがあっても、「100点満点じゃないけど、まぁ、なんか、こんなもんなんじゃないかな」と思わせてくれる、そういう優しさがある。

首都高に乗ったときに、初めて大都会にいるということを実感した。これは新潟を広くしただけでは到底真似できない。少なくても国内では、東京以外に作れる場所はないだろう。

都会はどちらかといえば好きじゃないし、東京には人が集まりすぎだからもっと分散すればいいのにと強く思っているのだが、首都高だけは、唯一好きになった大都会のシンボルだ。


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コヤナギ トモヤ

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