いったいあなたはいくら欲しいのですか?

問題。

仮にいま、あなたは望んだ分だけお金をもらえるとします。いくら要求しますか?
ただし、その後の一切の追加収入はないものとし、死ぬまでの間に全額を使い切らなければならないものとします。

普段、売り上げだの年収だのという「金額」には敏感な人でも、意外とすぐには答えられないんじゃないかしら。目の前の小さな数字をどんなに執拗に追いまわす人でも、その後のことは驚くほど見えていない。

要するに、希望する生涯年収を答えればいいわけなんだが「使い切らなければならない」という条件が付いているので、要求しすぎてはいけない。多すぎず少なすぎず、自分にとって最も幸せな人生のお値段はいくらだろうか?

一生涯 豪華絢爛な生活を送るに足るだけの金額を要求してみようと欲張ってはみるけれども、豪華絢爛にかかる費用なんて庶民には想像もできない。それだったらと、とりあえず生活レベルは今くらいをキープするとして、とにかく欲しいものを全部買ったらいくらになるか計算してみるが、思いつくもの全部足しても意外と大した金額にならなくてがっかりする。それでも頑張って、家とかクルマとかで贅沢しまくってみようかと奮発するが、維持費がどれほどかかるか想像できなくて怖気づく。

まぁ、だいたい僕ぐらいの庶民はこんなもんだろう。さんざん夢を膨らませた後で、ちょっぴり贅沢できるかなくらいの微妙な金額に落ち着くんじゃないかな。あからさまに非現実的な大きな金額は、逆に怖くて提示できない。

高額の宝くじに当たったのを切っ掛けに、仕事もやめて豪華絢爛な生活にシフトした結果、あっという間に全額を使い切り、収入もなくて自己破産・・・というよく聞く話。こういう人生を幸せとは言えまい。大金が彼を不幸にした。

いま、好きなだけの大金を手に入れたとして、このような不幸な顛末を迎えないためにできることがあるとすれば、それは「我慢などする必要がないほどの大金を手にしながら、それでも敢えて我慢して普通の生活を維持する」こと。途中で余計に欲張ると死ぬまで生きるための貯金が足りなくなる。当初の計画通りに上手く消費しなければならない。

もしそれができないというのなら、はじめからほどよく貧乏であったほうがよっぽど幸せに生きられるんじゃないかしら。

さて、あなたの幸せな人生は、おいくら万円?


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コヤナギ トモヤ

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