憲法改正案と現行の昭和憲法をdiffしてみた。

自民党提案の憲法改正案、もう読みましたか?

2017年5月3日に、安倍首相が 2020年施行を目標に憲法改正を行いたいと発表しましたが、2020年まで、残りあと3年くらいしかありません。東京オリンピックも同じ年ですから、国会も有権者もなかなか忙しくなりそうです。

憲法改正案をまだ読んだことがない方、憲法改正のことは知っているが、第9条だけが改正されるように思っている方など、実はたくさんおられるのではないでしょうか。

そこで、日本国憲法改正案の違いを可視化し、把握しやすくするため、現行憲法と改正案を diff (差分抽出) してみました。議論に参加する際の参考としてご活用ください。

日本国憲法 改正案 を diff するプロジェクト キャプチャ

現行憲法と改正案の差分の可視化

diff した結果は、下記のリンク先にアップしました。

差分を比較するにあたり、改行の規則をあわせたり、あまり重要ではないと(素人目には)思われるような箇所の表現を合わせるなどの加工処理をしているのでご注意ください。 どのような加工をしたかは、表紙のREADMEの記載変更の履歴 を参照してください。

比較は、各章毎にそれぞれ別ファイルにして行いました。

所感

diff する作業をしながら、全体に目を通しましたが、その中で感じた所感を幾つか書きたいと思います。

第9条と教育無償化だけではない

変更箇所は、憲法の全域にわたっています。第9条と教育無償化が注目されていますが、それだけではありません。

diff を眺めて、素人目に特に重要だと直感した点は、下記です。

  • 前文:全体がガラッと書き換えられている。
  • 第一章 天皇:天皇が象徴ではなくなっている??
  • 第三章 国民の権利及び義務:個人よりも社会(国)の尊重が優先される??
  • 第九章 緊急事態:地味にごっそり追加されている。

細かい変更点も要注意

改正案は、よく霞ヶ関文学と言われるような特殊なリテラシーを前提に書かれていると思われます。素人目には一見して同じ意味に見えるようなことを、なぜか言い方を変えていたり、句読点が追加や削除されたりしている箇所が散見されます。そういう些細な変更点にも注意が必要かもしれません。

悪用する人の立場で読んでみるべし

憲法は、国家権力の暴走や悪用を止めるためにあるものです。もし、誰もが利他的にしか行動しないなら、憲法も法律もなくても平和で公正な社会になるはずだからです。

従って、憲法の改正案を検討するときには、それを悪用しようとする、善意によらない、あるいは利己的な権力者の立場に立ってみて、抜け穴を探すように読んでみるとよいと思います。それは、現在の権力者とは限らず、3世代先、4世代先の将来の権力者かも知れません。

どのように曖昧に解釈しても悪いようにできない文章になっていれば、それはおそらくよい憲法なのではないでしょうか。

まとめ

憲法は法治国家の一番の基礎です。そこに変更を加えるわけですから、誰かに任せきりではいけないし、議論を尽くさぬまま安易に決めて良いものでもありません。第9条の議論も重要ではありますが、そのほかの変更点についても、もれなく十分な議論がなされている必要があると思います。

私自身の立場を言えば、現行憲法を維持し続けることそれ自体には大きな意味を感じていないので、必ずしも護憲の立場ではありません。しかし、これほどの広範囲に多くの変更点を散りばめられた改正案を、1回の改正発議として提示され、十分に議論する時間を確保できないまま「改憲か?護憲か?」と問われるならば、護憲に回らざるを得ないというのが正直なところです。

いまのところ、Facebook や Twitter などのSNSで改憲に関する投稿を眺めてみると、ほとんどが第9条のことで、それ以外について触れている投稿が少ない印象があります。もしも隅々まで議論する時間がないならば、改正期限を先延ばして十分な時間を確保するか、十分に議論の済んだ点に絞って改正するか、または白紙に戻して考え直すのが無難ではないでしょうか。

ぜひ、多くの(というか全ての)方に、改正案の隅々までよく読み、活発な議論に参加して、全国民積極合意のもとで最善の選択ができることを願っています。

ちなみに、改憲までの流れを確認

今回の改憲は(改正案ではここにも変更が入っているので、次回はどうなるかわかりません)、現行憲法「第九章 改正」に規定された改憲の手続きに則って進められます。段取りは次のようになっています。

  1. 衆議院または参議院の議員が発議する。
  2. 衆議院、参議院 両議院のそれぞれの総議員の過半数の賛成で国会が議決する。
  3. 国民投票で、有効投票の過半数の賛成が必要。
  4. 天皇が憲法改正を公布する。

もし衆参両議院を通過すれば、次は 3 の国民投票です。 国民投票は 有効投票の過半数 なので、 "投票に行かない" というだけでは、反対票を投じたことにはなりません のでご注意を。

賛成の方も、反対の方も、まだわからないという方も、隅々まで議論を尽くし、納得して投票に行きましょう!


プロフィール

ときにはデザイナ、ときにはディレクタ、ときにはプログラマ、ときには何でも屋と、ウェブの世界で未熟ながらもいろいろやっている、コヤナギトモヤです。

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