なぜジョブズはAdobe Flashが嫌いなのか? きっと人に迷惑をかけているからに違いない。

どうしてジョブズはAdobe Flashが嫌いなのか?
きっと、Flashコンテンツが人に迷惑をかけているからに違いない。

しかし、それは Flash が悪いわけでも、Adobe が悪いわけでもない。コンテンツのデザインがいけないのだ。

ケータイやiPhoneなどの端末で表示できないし、スペックの低いネットブックなどのPCでもまともに閲覧できないことは多い。インターフェイスの設計に難がある場合もある。画面の幅や高さが小さいと操作できないようになっていたり、マウスオーバーなどのマウス操作が前提になっていたりすることもある。

これは、やっぱり一部のユーザからすれば迷惑だ。見れるはずのものが見れないようにされてしまっているわけだから。

では、どうしたら迷惑ではなくなるのか。

次の手順に従ってウェブコンテンツを構築すればいい。

  1. テキストだけでの表現で全部を伝えるきること。まず最初にこれを作る。テキストは最もベーシックな表現形式で、モバイルユーザにも、音声ブラウザユーザにも、検索エンジンにも等しく情報を伝えることができる。
  2. 画像と色による表現を追加する。画像と色の表現は、視覚障害者や画像表示をオフにしている低速回線のユーザなどには伝わらない。画像代替テキストを残しておけば、これらのユーザにも情報を伝えることができる。
  3. レイアウトを追加する。適切なレイアウトは端末によって異なる場合がある。メディアタイプやメディアクエリといったウェブ標準の規則に従って、端末の特徴に合わせたレイアウトを提供する。
  4. JavaScriptによる動的な表現を追加する。JavaScriptもリッチな表現を可能にするが、それゆえに処理が重くなりがちで、すると自然とオフにしたいというユーザも現れるはずだ。JavaScriptが利用できない(もしくはオフにしている)ユーザに対してはテキストや画像による静的な表現が提供されるようにする。
  5. ブラウザのプラグインなどを使ったリッチな表現を追加する。ようやく Adobe Flash の登場。Adobe Flash を含むプラグインは非ウェブ標準技術だが、ウェブサイトに様々な豊かな表現方法を追加できる。しかしそのメッセージは誰でも受け取れるとは限らない。

最初に、最も基本的なテキストによる表現を作成する。これさえあれば、どんなユーザにでも同等の情報を伝えることができる。
以降は少しずつ受け取れるユーザの数を減らしながら、少しずつ表現力を豊かにしていく手順になるが、ポイントは、「置き換える」のではなく「かぶせる」ことだ。そうすれば、少なくてもテキストによる表現は提供できるはずなので、「どんなユーザにも等しく情報を伝えられる」を担保することができる。

「FlashにするかHTMLにするか」と悩んでいる人を時々見かけるが、この選択こそがナンセンスなのだ。『HTMLは必ず作る。余裕があるなら、Flashでも作る』が正解。
表現力の小さいほうから順番に作りこんでいき、予算が尽きたところでやめればいい。

こうしたベースの上に Adobe Flash コンテンツが実装されてさえいれば、Flashは誰にも迷惑をかけることはなくなる。そしたら、おそらくジョブズにも受け入れられるんじゃないかな。

AppleとAdobeのケンカみたいに見えるけれども、実は悪いのはウェブコンテンツメーカーだってことじゃないのか。
めんどくさがらずにちゃんとウェブサイトを作って、Flashが嫌われないようにしていかないといけない。


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コヤナギ トモヤ

まったりウェブ系コーダーしてます。PHP製静的CMS Pickles 2 を開発しています。

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