公開日: 2010年06月03日(Thu)
『ニンテンドーDSが売れる理由―ゲームニクスでインターフェースが変わる』(サイトウ・アキヒロ,小野憲史著)を読み終えたので、ご紹介。
最初に勘違いを避けるために前置きをすると、「ニンテンドーDSが売れる理由」とキャッチーな題がついているが、マーケティングや経済に関する本ではなく、UIデザインのノウハウ本である。あと、DSについて書いたものではなく、ファミコンからプレステ、Xbox、Wiiまで、テレビゲーム全般のデザインについて論じたものだ。
『ゲームニクス』とは、テレビゲームのデザインの過程で培われてきたUI(ユーザーインターフェイス)の設計ノウハウを体系化したもの。
これがゲームニクスの2つの目的だ。
漢字は覚えられないけど、ドラクエのモンスターは全部知っていた。鎌倉幕府が始まった年を覚える目的はいまだに理解できないままだが、スーパーキノコをゲットしてクリボーを踏んずける目的がピーチ姫を救うことだということは理解できた。
たぶん、僕らファミコン世代の多くがこんなような体験をしているんじゃないだろうか。
どうして、漢字は覚えられないのに、モンスターは覚えられたのか? 知らず知らずのうちに引き込まれて、知らず知らずのうちに夢中になり、知らず知らずのうちに上達してしまうUI。言われてみればハッとするUIのデザインテクニックが、ゲームニクスに詰まっている。
スーパーマリオやドラクエの、最初の画面に隠されたメッセージなどは、「俺はこんな風にノせられていたのか!」と、手品のタネを明かされたように驚嘆した。
この書籍自体も、よく整理されたデザインで、画像や写真も沢山ついていて、とっても読みやすく書かれている。
本の中でも述べられているが、このノウハウはゲームに限ったものではない。それ以外の様々な分野に広く応用できる技術だと思われる。UI設計に携わる全ての人、とりわけウェブ屋の人にはぜひともお勧めしたい必読の書。
公開日: 2010年06月03日(Thu)