デスクトップPC上でアプリを使うことに抵抗がなくなってきた気がする

ここのところ、Macを使うようになって思ったことをエントリ。

何かちょっとしたことをするのに、アプリを使いたい気持ちになっている。

ちょっとしたこと、というのは、ほんとにちょっとしたことで、TwitterやFacebookをみたり、RSSやメールを読んだり、カレンダーでスケジュールを確認したり、という程度の、ちょっとしたこと。

スマートフォンでアプリを使うことに慣れて、その概念がそのままデスクトップPCに逆輸入されようとしているのだろうけど、これはちょっと前にはなかった、逆行する傾向なんじゃないかと思う。

ウィンドウをたくさん開きたくない時代

Windows XP とかのころは、アプリケーションをたくさん立ち上げるとタスクバーにウィンドウがたくさんならんで煩わしくなるので、なるべく余計なアプリは立ち上げたくない、と思っていた。それなのに、ウェブページがブランクウィンドウにリンクを開くたびに、どんどんウィンドウが生成され、タスクバーを圧迫するので、これも嫌われた。

その結果、タブブラウザのような、複数のウィンドウを立ち上げるような操作をしても、タスクバー上では1つにまとまるようなデザインが発明されたりした。WindowsXPには、タスクバー上で同じ種類のアプリケーションのウィンドウが複数ある場合に、1つにまとめる機能がついている(が、使いにくいので結局ぼくはオフにしてる)。

アプリケーションをウェブプラットフォームに集約すべし時代

すべてのアプリケーションをウェブブラウザに集約しよう、とか言い出したのも、同じ動機じゃないだろうか。ブラウザ上ですべてのタスクをこなせれば、ウィンドウは1枚でいい。あらゆるツールが1つのアプリ、1つのプラットフォームに集約されれば、ユーザーは1枚のウィンドウ上で、ブックマークから好きな機能にいつでもアクセスできる。そして、ウェブアプリケーションは発展し、ウェブAPIとかも発展し、HTML5だったり、果てはウェブOSみたいなアイデアにまで繋がってきたんじゃないだろうか。

やっぱりアプリはウェブじゃない方がよかったのでは?時代

ところが昨今、ぼくたちは、スマートフォンやタブレットを使い慣れてくると、あの小さい画面で、指先のみのインターフェイスで、全部をブラウザ上でこなすのは逆に骨が折れる、ということを体験した。なるべくなら、サービスを小さい機能の単位に分解して、別々のアプリとして利用した方が便利だ、という風潮になってきている。

モバイルファーストがやってきた

そして、ユーザーが主に日常的に触れる端末は、デスクトップPCからモバイル端末になってきているなかで、モバイルファーストとかいわれるようになり、このモバイル上の体験が、デスクトップに逆流してくるようになっている。

モバイル(スマートフォン)端末で使いなれたツール(=アプリ)を、いつでも使いたい。同じUIで使いたい。スマートフォンにできることなら、当然デスクトップPCでできないはずはない。

で、デスクトップPCでもアプリ、の時代へ

Macのドックに並んでるアプリアイコンや、同じくドックからすぐに開けるアプリケーションフォルダの中のアイコンからアプリを立ち上げるのに、大したストレスは感じない。「Mission Control」や「Spaces」「Dashboard」「フルスクリーンアプリケーション」など見ていると、"ブラウザ内ですべてが完結できる" ことに、逆に不便さを感じざるを得ない。

MacOSのUIはすごい。ウィンドウがたくさん開いたって、煩わしく感じない。「Mission Control」を触ってみたときに、複数のデスクトップという元来煩わしい概念を扱う操作に、これほど混乱なくついていけるとは、我ながら想像できなかった。

ウィンドウがたくさん立ち上がることに大きな抵抗はなくなった。ブラウザ以外のアプリのウィンドウが複数並んでいるとしても、抵抗ない。そして、アプリが欲しくなる。

ウェブはもう一度シンプルになる

そうなると、ウェブはもう一度シンプルになる。

  • ブラウザは、本来あったHTMLドキュメントビュワーという役割に回帰する。そういう機能を持った、1アプリケーションとして。
  • ウェブのプラットフォームは、クラウドや、ウェブAPIサービスとしての側面と、HTMLドキュメントの集合としての2つの側面において発展する。
  • アプリのUIは、OS、あるいは個々のネイティブアプリが担う。
  • ウェブアプリのUIは、ごく標準的で、端末依存しないことが第一に重要になる。この要件を満たせない可能性のある先進的なUIは、役割としてネイティブアプリに委ねる。
  • ウェブアプリケーションの基盤であるHTML5は、ブラウザ上であらゆる機能、サービスを集約するためではなく、ウェブと同じ言語で、端末上で動作するネイティブアプリケーションを実装できるようにすることが目的とされるようになる。

もともとHTMLは文書を記述するための "データフォーマット" である。その意味では、CSVやJSONやYAMLなどと同じ。

CSVのカラム定義をデザインするために、Photoshopを立ち上げるデザイナはいない。一方、もしPhotoshopが登場するとすると、エクセルをデザインするときなら、それはあり得る。

CSVはデータフォーマットで、エクセルはアプリである。この境目は明確だった。HTML5は、その両方の役割を一手に担おうとしているから、ややこしく御しづらい。この境目がなくなったことで、新しい概念が生まれてくる可能性もあるが、現在のところはまだ、ただ混沌としている段階にあるように感じる。

だけど元々は、HTMLはデータフォーマットであり、ブラウザがアプリであった。ウェブデザインは一旦初心に戻ってみるのもありなのかも知れない。ウェブデザインは、CSVとエクセルほど明確に分離することはできないだろう。だけど、ブラウザではない別の目的のネイティブアプリからも参照されることを考えていくと、ドキュメント的な性質の部分と、ビュワーアプリとしての性質の部分とは、どこかで線を引いた方が有益になるに違いない。

データと、ウェブアプリと、ネイティブアプリ。いま混沌としているこれらを、明確に整理する必要がありそう、ではないかな。

PCアプリはだいぶ不足している

そもそも、スマートフォン以前、アプリケーションをウェブプラットフォームに集約すべし時代のデスクトップPCアプリケーションとは、ニーズ自体が変化してきてたりするだろうか。

MacのApp Storeでちょっとしたアプリ、例えばRSSリーダーなどを検索してみると、無料のアプリのなんと少ないことか。iPhoneで検索したら山ほどに見つかるのに。たぶん、Googleで探したらいくらか見つかるとは思うが、Mac専用のアプリを探すために、ウェブ全体を検索しなければならないのでは効率が悪い。

モバイルファーストだけに、モバイルの市場の方が先行している形になっている。

だけどやっぱりPCは効率がいい。便利だ。モバイル上で実現したアイデアは、PCに持ち込めばより効率よく扱えるようになる。利用頻度はモバイルに及ばないかも知れない。でも絶対的に、PCの方が効率的だ。ニュースを読むという仕事を1つとっても、作業効率に圧倒的な差がつく。

つまるところ、PCはなくならない、な。


プロフィール

ときにはデザイナ、ときにはディレクタ、ときにはプログラマ、ときには何でも屋と、ウェブの世界で未熟ながらもいろいろやっている、コヤナギトモヤです。

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