公開日: 2013年10月22日(Tue)
ここ数年の間、お仕事の都合上、自分でコードを書いて開発する機会がガクッと少なくなり、ウェブ技術のトレンドに疎くなっていた私ですが、最近再び主にフロントの開発チームに戻ってきて、数年分の遅れを取り戻そうとがんばって追いかけている昨今です。
取り急ぎ技術を追いかける中でよく登場する技術というと、
とか、まぁ他にもいっぱいあるのですが、だいたいこういうのがホットワードになる傾向があります。
こういう技術群を眺めていると、総じて「いままであったものをより効率よく作ろう」とか「乱立したプログラミング言語を統合して1言語で表現できるようにしよう」とか「ちょっと書きにくかった基礎技術をラップして書きやすい方法を考えよう」とか、要は「効率化」がトレンドなんじゃないかと感じます。
効率化自体は別に今に始まったことではなくて、うんと昔から当然取り組まれていたことなので、いまさら特にどうということもないわけですが、注目したいのは、これらの技術を使うことで ユーザーへのプレゼンテーションにほとんどインパクトがない ということです。
これまでのウェブ技術のトレンドをざっくり振り返りつつ、少し思い出に浸ってみたいと思います。
これまでのウェブ技術のトレンドは、最終的なアウトプットとして、ウェブユーザーの体験を便利に、あるいは豊かにし続けてきました。そうした流れからの、いまのトレンドが「効率化」です。
ウェブの開発や更新がスピーディーになったり、ウェブページの表示が高速化するのも豊かで便利である、と言えばその通りではありますが、ユーザーの目にはかつて程の "めざましい発展" のようには映らないでしょう。それどころか、標準化の旗のもと Flash の表現が発展途上のHTML5に置き換わる動きもあって、インタラクション表現はむしろ後退したように見えるかも知れません。
平面の画面上の表現力は、Flashで完成していました。今後どんなウェブデバイスが登場してもレスポンシブ・デザインで解決することができるでしょう。ウェブデザインは、レスポンシブ・デザインの普及とともに、一旦の完成を迎えたのだと感じています。小さな進歩はあるにせよ、大きくユーザー体験を変えるような変化はしばらく起こらないだろう、ということです。
かくして、ウェブデザインが完成したことで、ウェブ技術の進歩は「効率化」の方向に向かうわけです。より安定的で、より標準的な技術。こうした技術やノウハウが一般化されるにつれ、ウェブ制作のコストはどんどん下がっていくことでしょう。昨今の「効率化」のトレンドは、そういう流れから想像できる "ダンピング" に対するエンジニア達の抵抗の現れと見ることもできるかも知れません。
さて、私はウェブの技術者であるわけですが、こうした流れを受けて、どこへ向かったらよいだろう、ということに悩んだりするわけです。もちろん、ウェブは効率化という方向で進歩を続けていくわけだし、だいぶ昔からコツコツ作ってきた PxFW もまさしく "ウェブ制作の効率化" を目指して作っているものだし、この流れは引き続き追求していくわけではあるんですが。やっぱり、"めざましい発展" をもっと体験したいという気持ちがどこかに根強くあるわけです。
もし前述のとおり、平面の画面上の表現がすでに完成したのだとすれば、それは画面の外にあるはずじゃないかと思います。ちょうど、O2Oのような、ネットやデジタルに閉じない考え方がマーケティングトレンドになっていたりもする中、スマートフォンのアプリや、店舗や、どこかの場所、そこにある何かの装置と連動するような仕掛けのアイデアが求められる機会が増えるんじゃないでしょうか。
幸い、ウェブ技術の発展と普及にともない、ウェブ以外のいろんな場所でウェブの技術が活躍できる土壌が整っています。スマートデバイス向けのアプリを作れる Adobe AIR や PhoneGap もそうですし、Node.js なども、ウェブ以外の領域での活用を強く期待させると思います。そもそも HTML5 の仕様自体が、そうした用途を考慮して設計されているわけですから、世界のエライ技術者様のお導きの尊さを感じざるを得ませんわけです。
公開日: 2013年10月22日(Tue)