公開日: 2007年12月27日(Thu)
人間の脳内の出来事は、すべてパルス信号で処理されるらしい。全身の神経を通るのも、パルス信号。つまり、デジタル処理されている。思考でコンピュータを操作するブレイン・コンピュータ・インターフェイスとか、人間の意図を読み取る技術なるものがすでに実現しているとも聞く。CCDカメラを視神経に接続して、直接神経に流したデジタル映像の信号から、脳が映像を認識できたという事例があるらしい。
つまり何が言いたいのかというと、『心』もデジタル信号の塊なのじゃないかということで、つまり、情報技術は心を解明しちゃうのではないかということで、つまり、このことは、いろんな分野で何かしらの成果を上げるだろうという期待を感じていると同時に、ほんのちょびっと使い方を間違えれば、破滅的なマズイことにもなり得るだろうという恐怖も感じている、ということだ。
思考を完全にスキャニングできるのだとしたら、つまり人間の全身で常に起こっている情報流通を完全に把握できるのだとしたら、心の正体が解明できてしまうのではないか。おそらく、最初に、自分の心をモデル化して、デジタルファイルに置き換える人が現れる。次にその人は、同じ手法で他人の心をモデル化して、サンプルを収集し出す。集まったデータを分析すれば、心のメカニズムを完全に理解するのも時間の問題。
これができちゃうと、これまで他人の領域に侵入できなかった哲学が一気に発展して、もしかしたら終結するところまで行っちゃうのかも知れない。心理学とか精神医学なんかも、完了してしまうかも知れない。現在では原因すらわかっていないような精神疾患のおそらく全てに完璧な説明が加えられるだろうし、もしかしたら精神疾患ていう概念がそっくり消えてしまうかも知れない。これまで宗教が担ってきたような役割は、全て科学にシフトされるだろうし、錯覚や幻覚や霊感みたいなものまで、すべて解明されて、説明可能な現象になるかも知れない。
そうするうちに、考古学やら歴史なんかと合体して、ツタンカーメンやアインシュタインや聖徳太子の『心』を復活させる、みたいなプロジェクトが発足したりして、「一日アインシュタイン体験ツアー」みたいな、月に行くより遥かに面白そうなイベントが催される。
全ての人の心が見える化されると言うことは、精神医学では精神疾患の治療や完全予防を実現し、犯罪心理学の分野に応用されれば、犯罪者が犯罪者になる前に、犯罪を未然に防ぎ、全世界の犯罪をゼロにすることだってできるかも知れない。その分、プライバシーや人権ならぬ人格侵害のリスク、今までは白黒はっきりできないために、なんとなく曖昧に処理できたからこそ上手く纏まっていたような問題に、ひとつひとつ正解を与えることができてしまったり、人間の価値や優劣が明確に数値計算できてしまうようなリスクとか、優等生をコピペで教育できちゃったりとか、望ましくない副産物が山のように出てきそうに見える。
正しい倫理を確立していないとヒドイことになりそうな気がするが、その倫理がもし心に存在するならば、その正しいか否かを同じ技術で判定できてしまったりもしそうだし、もうわけわかんない。
飛躍しすぎかも知れませんが、何が起きてもおかしくないグチャグチャな世界だな。くわばらくわばら。
公開日: 2007年12月27日(Thu)