オレの物欲には限界がある説

最近、欲しいものが少なくて困る。なんか頑張って、頑張ったから自分にご褒美♪っていうのができないから。きっと人の物欲には限界があるんだと思う。(ただし、この「人」とは「世の中の一般的で大多数の人」のことであり、中には無限の欲求を実現する人もいるが、ほとんどいない、という意味で。)

  1. 生理的欲求
  2. 安全の欲求
  3. 親和(所属愛)の欲求
  4. 自我(自尊)の欲求
  5. 自己実現の欲求

マズロー欲求段階説だ。マズローによれば、人の欲求は段階を踏んで大きくなり、低次の欲求が満たされなければ、高次の欲求は発生しない。マーケティングの本なんか見てると、たまに「顧客の自己実現を支援する×××」みたいなことを書いてあったりもするけど、そんな高次の欲求は物欲や買い物ごときでは、なかなか満たされるものではない。マズローも、『優秀な人ほどこの段階を駆け上がるのは速いが、自己実現を果たし、自己超越の域に達する人は極めて少ない』と言っている。

物欲が満たすのは、最初は『親和(所属愛)の欲求』。みんなと同じ服を着てたり、流行の××を持っていることでグループの一員になれたような気がするとか、月9のドラマを観てないと話に混ぜてもらえないとか。それで所属したような気になれる。

次は『自我(自尊)の欲求』。すごいカメラとか、すごいスポーツカーとか、他人に自慢できるような上等なアイテムを持つことで、周りに認めてもらおうとする。むかしファミコンを持ってるヤツはヒーローになれたように。

でも、みんなと同じ物を持ってるからって同じグループのメンバーだと認められる訳じゃないし、ポルシェやフェラーリを持っていたからって、周囲から尊敬されるとは限らない。みんなと同じ服を着ていたら、それをきっかけに交流を持つことはできるかも知れないし、フェラーリを乗り回せばはじめは特別な目で見られるかも知れないが、そっから先の評価は持っているモノとは関係ない。つまり、物欲は本質的にどちらの欲求も満たすことはできない。つまり、どんな魅力的な商品を市場に投入したところで、買った人の自己実現を支援するなんて大仰なことはなかなかできるもんじゃない。

しかも、それらが本質的に自分の欲求を満たし切れないことに、買った本人たちはなかなか気づけない。なんとなく、一時的にでも、満たされたような気持ちになるから。また流行が変わったら、新しい流行物が欲しくなる。自分が持ってるものより機能や性能が向上した最新の機種があったら欲しくなる。飽きて、買って、飽きて、買って、それの繰り返し。そうやって、『親和(所属愛)の欲求』と『自我(自尊)の欲求』との狭間を行ったり来たりしながら、買い続ける。タバコをやめられないのと似てる。

・・・物欲を欲求5段階説の中に当てはめて考えたらおかしくなるのかな? 「コレクション」は何に当たるだろう?

まぁそれはそれとして、要するにいま僕は欲しい物がないわけだ。それはつまり、いま持っているものだけで十分満足できているということなんだろう。壊れたら買い換えるくらいのことでしかない。それ以上の理由で「欲しい!」と思えるような、欲望を刺激されるほんとにスゲーものが見当たらない。

大きいテレビは要らないし、ハイビジョンも欲しくない。ゲームはソフトが上位機でしか遊べないように作られるから仕方なく買うだけで、そうでなければプレステ2で十分。プレステ3Xbox360もオーバースペックだ。PCもどうせ大したことはしないから、イマドキの最低ランクのマシンでいい。iPodも壊れたら新しいのを買うくらいで、いま使ってるのがあるのに買い換えようという気にはなかなかならない。

もしくは、欲しいものはタダで手に入るものだったりもする。パソコン好きだけど、ソフトウェアは無料でいいものが沢山手に入る。ニュースもタダで読める。面白い動画もタダで見れるサイトが沢山あるし、そもそもテレビ観るのはタダ。自分のサイトを作ったり、好きなプログラムを作ったり、ブログを書いたり、絵を描いたり。タダではないにしても安価、ほとんどお金はかからない。音楽だって1曲単位で買うことができるようになった。僕の欲望なんてそんな程度でほとんど満たせてしまう。

それより、「なんにもない時」が欲しい。音もなく、誰もいない、一人ぼっちの静かな空間。自分の内面と直接向かい合える場所。そういう場所を手に入れたら、もしかしたら自己実現の境地にリーチできるかも知れない。という気がする。

『自分へのご褒美』には適さないけど。


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コヤナギ トモヤ

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