公開日: 2009年09月17日(Thu)
WIRED VISION に掲載された記事『Google検索アルゴリズムで生態系崩壊を予測』より。
Googleの検索エンジンについている PageRank というアルゴリズムを使って、生態系の中の最も重要な種(この種が絶滅することによる悪影響が最も大きい種)を特定するという研究のお話。
現在の群集生態学では「食物連鎖」という言葉より、食物網という概念の方が現実的なものとして重視されてきている。複数種の餌を食う動物は珍しくなく、また、複数種に食われることもあり得るので、それらを考慮に入れると、関係が入り乱れた複雑な網目(食物網)が描ける。古典的な「食物連鎖」と比べて、連鎖の段階は錯綜し、段階数も非常に数が多くなる
この、複雑な食物網の中で、最も重要な種を、PageRankアルゴリズムで特定しようということらしい。Googleイメージ検索してみると、複雑な食物網の図が沢山出てくる。
詳細はさておき、この「使い道」は上手いな、と思った。
PageRank と言えば、「ウェブページの価値を評価するアルゴリズム」。という先入観を、ついつい持ってしまう。しかし研究者たちは、こうした先入観にとらわれず、PageRankの機能の本質を的確に理解し、利用した。一見して、まったく関係ない用途に見えるかもしれないが、なるほど気が付いてみればいかにも理に適っている。
これは素晴らしいアイデアだと思う。大きいシステムを小さいモジュールに分解して、それを上手く再利用するという、お手本のような事例。僕らもこういう発想ができるようになっていないといけない。
僕らの周りの手の届く範囲にも、いろんなソフトウェアやソースコードの類が山のように転がっている。きっとこの PageRank の例のように、誰も気づいていない、最高に気の利いた別の使い方があるはずだ。
公開日: 2009年09月17日(Thu)