「繰り返し同じことをする」人間の面白さを引き出す秘訣?

デジタルの情報は劣化しない。だから、デジタルデータは、バックアップを取っておけば、いつでも同じ状態を復元することができる。

だから、プログラムをモジュール化(部品化)して、同じソースコードをそのまま流用することができるし、その動作は(不便な機能やバグも含めて)いつでも同じと保障することができる。ある時点のソースコードを、バージョン2.0 とかという数字をつけて、保存することもできる。その気になれば永遠に。

これはデジタルという極めて高度な秩序の上にのみ成り立つことができる。デジタルだからこそできるズルである。このズルが、プログラマの仕事の効率を上げる。尊敬されるべき優秀なプログラマは、こんなズルが上手い(らしい)。デジタルコンピュータのいいところだ。

同じように、音楽の演奏や、イラストやアイコンなどのデザインを、モジュール化してバージョン管理とかしたらどうだろう。

制作仕事が早くなるだろうが、それだけじゃない。毎回まったく同じ演奏。まったく同じイラスト。まったく同じアイコン。に、なってしまう。「まったく同じ」ではなくても、発想が固定されやすくなる。遊びの部分が削られ、発想に道筋がしかれ、新しい結論へ行き着く可能性を狭くする。

バイオコンピュータ(例えば人間の脳)は、カオスな領域を沢山持っている。同じことを、まったく同じように2度することはできない。これがデジタルコンピュータと決定的に違う点であって、人間らしい面白さではないか。

だから、失敗を沢山するのもよかろうし、無駄な仕事をするのも面白いんじゃないかしら。

同じイラストを、何度も描き直す。何度も何度も。そうしているうちに、同じように描いたつもりでも、毎回どことなく違う表情が見えてくる。第1巻の両津勘吉と、第100巻の両津勘吉とでは、ぜんぜん違う風貌であるのと同じように。

同じ曲でも、ライブで演奏するときは必ず違う演奏になっている。別の誰かが同じ曲を、何度も繰り返し演奏すれば、そのたびに違う演奏を楽しむことができる。

いいじゃないですか、非効率。面白い非効率。


プロフィール

コヤナギ トモヤ

まったりウェブ系コーダーしてます。PHP製静的CMS Pickles 2 を開発しています。

RSSフィード

  • このサイトは、 コヤナギ トモヤ の個人サイトです。
  • 個人的な主張や、活動の記録などを掲載しています。 所属する企業、団体、その他の意見や立場を代表するものではありません。
  • 掲載された内容は古くなっている可能性があります。 特に古い記事では、現在の筆者の考えと異なる主張をしていることがありますが、記録としてそのまま残しております。 予めご了承ください。
ページの先頭へ戻る