マリオカートWiiレビュー

マリオカートWiiで遊んでみた。マリオカートはシリーズで幾つかのバージョンが出ているが、私がやったことがあるのはスーパーファミコン版(一番最初のマリオカート)だけ。

初代スーパーファミコン版とWii版の間には、Nintendo64版とか、NintendoDS版とか、アーケード版なんてのもあるが、(よそのうちで1回か2回くらいプレイしたことがある版もある程度で)何れもほとんど知らない。それだけの予備知識で、イキナリ Wii版をやったもんだから、やっぱりかけ離れている。

率直に、マリオカートWiiの感想を言い表すと、「勝ちにくく負けやすいレースゲーム」と言ったところか。とにかくなかなか快勝できなくて、イライラする。

なかなか快勝できない理由は、あまりにも無慈悲なアイテムたち。絶対に避けられないような、無敵のアイテムが目白押しで、ゴール直前まで1位でも簡単にビリ近くまでひっくり返されてしまうのだ。下記に一例を挙げてみる。

キラー
無敵、超速、コースアウトなしの自動操縦。目の前のライバルを所狭しと弾き飛ばしながら勝手に猛進する。
羽が付いた青い甲羅
どんなに遠くからでも、どんな障害物があってもお構いなし。とにかく1位のカートに向かってまっしぐらに飛んでいって、大爆発を起こすアイテム。
カミナリ
自分以外の全員をマメくらいの大きさにしてしまう。あとはプチプチ踏み潰してまわるだけ。
POWブロック
コース全体に地震を起こす。自分以外の全員がずっこける。

こういうズルいアイテムはただラインナップされているわけではない。たまに出るくらいなら「運も強さのうちさ」などと言えたかも知れない。ところがこれが無茶苦茶な確率で出まくるわけだ。

こういう無敵アイテムは、順位が低いカートがよく引き当てる。順位が低いカートにしてみれば、一発逆転のチャンスだが、先頭集団にとってはたまらない。あまりにもよく出るので、序盤から先頭集団に入ると逆に勝てないんじゃないかと思ってしまうほどだ。

かくかくしかじか、やり始めのビギナーの頃はある程度楽しめたが、上級に行く手前の中の下級くらいでつまづいた。自分は無敵アイテムが出ない中途半端な順位。後ろのライバルは無敵アイテムでどしどし攻撃してくる。負けなくなってくると、勝てなくなるのだ。

この中途半端な位置づけをなかなか乗り越えられず、イライラがどんどん募っていく。結局気分よく遊べず、満足度は低い。

その他にも邪魔なアイテムはある。三連緑甲羅や三連バナナ。スーパーファミコン版のときは、貴重なバナナを無駄にしないために丁寧に工夫していた。最も効果的な場所をピンポイントで選択して丁寧に置いたもんだが、三連バナナだと、勿体無くないので適当にそこらへんに置いてしまう。これが出るたびに路上はバナナの皮で溢れかえり、走れる道がどんどん狭くなっていく。これも、勝ちにくい要因のひとつ。

しかし、この乱暴なアイテムの能力や出現率も、オンラインで他のユーザと対戦してみると納得できる。明らかに実力差がある相手とレースをしても、勝負が均衡するのだ。

同じタイトルのゲームは、版を重ねるごとに複雑にしたり、難しくせざるを得ない。旧版のユーザ(リピータ)を飽きさせてはならないからだ。しかし、それがゆえに、新規のユーザとのレベル格差が生まれてしまい、未経験のユーザが入り込みにくい世界を作ってしまう。マリオカートWiiが導入した無敵の殺人アイテムたちは、こうした格差を埋め合わせるのには最適の設定だといえる。

もしかしたら、一人プレイでなかなか勝てないのも、世界のプレイヤーとレベルを合わせるために難しい設定にされているのかも知れない。(欧米では、ゲームは難しくないと売れないという話を、どこかで読んだ)

納得のいかないズルい無敵アイテムでも、相手が生身の人間で、なんとなくどんな人か想像しながらプレイしていれば、さほどイライラもしないものだ。しかし、相手がコンピュータプログラムの命令で動くだけのNPC(ノン・プレイヤー・キャラクター)だったなら、決して同じ感情は抱くまい。

ネットワークで人間と対戦する場合だけ考慮すれば素晴らしいゲームバランスだといえよう。しかし、私のように、自宅で寂しく一人でプレイするユーザにも、ある程度スカっと気持ちよく遊ばせてくれたなら、もっとよかったのになぁ。


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コヤナギ トモヤ

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